群青ノート

日常の備忘録、あるいは私的雑記帳

2012-01-01から1年間の記事一覧

「みゆき」のみずみずしさ

あだち充の「みゆき」を読んだ。胸がちぎれそうになった。とてもみずみずしい気持ちになった。感性がすごいと思った。 主人公の若松真人と若松みゆきは、直接の血のつながりはないんだけど、義理の兄妹という関係にある。その事実が、読者に、二人は結び付け…

見知らぬ言葉と判断力

言葉といっても、初見では意味がわからなかったり、意味はわかるけれど自分で使うことはできなかったり、いろいろあります。僕は、意味はわかるけれど、自分で使うことができない言葉が多いということに気づき、一時期かなり単語を暗記しました。本などを読…

ま、いいではないか。

あだち充「ラフ」からのヒトコマ。二ノ宮 亜美が、わざわざ遠回りしなくては行けない桜並木を、忌み嫌っていた大和圭介と歩くシーンである。 二ノ宮は、前から大和に反感を抱いていたから、いわくつきの桜並木をわざわざ大和と歩くということは、それなりの…

あだち充のイラストを見て思うこと

「スローステップ」の主人公、美夏のバッティングフォームだ。いいなあと思う。そして、あだち充は本当に野球が好きなんだろうなあと思う。下半身がしっかりしていて、ほれぼれするほど全身の均整がとれていて、体にできた軸を中心にきれいに体がねじれてい…

あだち充「mix」

あだち充の「mix」を買いました。まだ一巻しか出ていませんが、早くもわくわくとした胎動を感じています。舞台は「タッチ」の明青学園。主人公とショートカットの女の子が義理の兄妹というところは「みゆき」を彷彿させますし、野球を始める前に権力に立ちふ…

晩酌にかける運動量

僕は晩酌をするのが好きである。とはいえ、あまり金銭に余裕のない身だから、週に二度くらいがいいところで、しかも安くすませたいと思っている。ということで、自宅から10分のコープでではなく、15分のリカーストアまで自転車をこぎ、六本セットで買えば割…

フルマラソンを走った一日

マラソンを走ってみようかと思ったのは2009年のことである。その前から走ることは嫌いじゃなくて、たとえば高校の3,000メートル走のときなどは、ひそかに1週間前ぐらいから走りこんだりしていたんだけど、2009年にとあることがきっかけになって、フルマラソ…

甲子園でのヒトコマ

今年の九月、久しぶりに行った甲子園のドラゴンズ戦で、ある親子連れを見た。息子とおぼしき男の子は小学校一年生ぐらい、タイガースの帽子をかぶっているんだけど、父親はドラゴンズの帽子とメガホンを身につけていた。 その親子は、タイガースファンで埋ま…

文章を書くモチベーション

今まで、僕の文章を書くモチベーションとなっていたのは、翻訳をやった反動で生まれるエネルギーの塊そのものでした。翻訳をやっていると、無性に自分の文章が書きたくなるのです。我をぎらつかせた、このうえなく自分を前面に押し出した文章を、です。 とこ…

車道に渦巻く無意識の交感

僕の主たる交通手段はもっぱらが自転車で、したがって外に出るとほとんど自転車に乗っていることになるんだけど、いつも疑問に思うことがあって、それは、走行中に前方をおぼつかない足どりで歩いているお爺ちゃんやお婆ちゃんがいた場合、ふつうは大きく空…

あだち充の果てしのなさ

あだち充の作品群を縦断すると、幾人かの定型的なキャラクターを認めることができる。物語の軸となる男の子の主人公。そして二人の女の子。一人はセミロング、もう一人はショートカット。そしてちょっとクールな、主人公のライバルとなる男の子。お決まりか…

グーグル日本語入力の甘い罠・2

グーグル日本語入力の変換機能の素晴らしさについては、以前にも書いた。そのネットスラング、固有名詞にかんする豊富な単語力は、僕を未知の世界にいざなってくれる。 とはいえ、困ったこともある。グーグル日本語入力は、ユーザーが事前に多く使用していた…

目の当たりにした凄み

まだまだプロ野球のパ・リーグで熾烈な首位争いがくりひろげられているなかこんなことを言うのもなんだけど、今年もよく野球を観た。春先から選抜を観に甲子園に通い、贔屓にしているライオンズの試合は5試合観戦して5試合とも勝ったし、高校野球の地区予…

四連発の衝撃

僕は関西に30年以上住んでいる。そして、25年以上、西武ライオンズを応援している。関西は野球が盛んな地域だから、いぶかしげな目で見られることもある。なぜライオンズを応援し続けているのかというと、これはとあることがきっかけで、相手チームを応援す…

根っこのところでの信頼感

前職場で一緒だったO君には、はじめは「とっつきにくそうだな」という印象を受けたんだけど、でも、彼の仕事ぶりや周りの人とのコミュニケーションのあり方に接していくなかで、僕はそのひとまわりぐらい年下の後輩の、きわめてすぐれたバランス感覚を目の…

早稲田ジェラシー

もう大学を卒業して十年以上がたっていて、大学教育とはまったく関係のない立ち位置で生きている僕なんだけど、早稲田大学に対する思い入れというのはいまだに強く残っているようである。早稲田出身の人に会うと、羨望で身が焦げそうになる。 これが慶応出身…

二十歳の夏の夜のプール

もう時効だから書いてもいいと思う。 大学生のころ、地元の中学のプールで泳いでいたことがある。夜中にひっそりと誰もいないプールに忍び込んで、密かな泳ぎを満喫するのである。 夏の夜の中学校の空気は、肌にへばりつくようにねっとりとしているんだけど…

カメを飼うということ

ニホンイシガメを飼っている。名前を檸檬という。子亀のころは、肌も甲羅もそれこそ檸檬色だった。飼い始めて5年ほどたった今では、体長10センチを超えている。 カメというのは、飼いごたえがあるのかないのか、いまいち手ごたえとしてつかみにくいものがあ…

大きな物語の解体

僕は、本の装画なり喫茶店の掛け絵なりで気に入った絵に出遭うと、その画家をついインターネットで調べたり、店の人に訊ねたりしてしまう。それほど詳しいわけじゃないけど、自分なりに好みの絵というものはある。 佐々木美穂は、石田千の本の挿し絵で知った…

自分の名前を取りかえせ

「漱石の孫」ということにあらがい、受け入れ、たたかっているうちに、意地でも「房之介」でとおしてやろうと思うようになった。だからペンネームは使わなかった。やがて僕は自分に自信を持ち、そのぶんだけ自分の名前が好きになった。父につけられた名前を…

多義的な読みの洗礼

高校のとき、国語で漱石の「こころ」を読んだ。その国語の教師は授業の最後に、クラスの全員に、「こころについて、漱石自身の言おうとしていることが正しいのか、それとも読者の解釈したことが正しいのか、どちらだろうか」という趣旨の質問をした。僕は自…

言葉の可能性

数年前、友だちと本の感想のやりとりをしていたときに“身の毛がよだつ”と言おうしたんですが、ちゃんと言えなかったせいでその友だちに突っ込まれて、「僕は自分が思っている以上に日本語がちゃんと使えていないんだ」と痛感したことがありました。それから…

カフィーソに感じた伸びやかにすぎる不安

僕が普段聴く音楽は、50〜60年代の、いわゆるたけなわのころのジャズが多いんだけど、これは石油をバリバリ食べているようなもので、あまり健康的でないことは自覚している。最近のものもたまには聴かなきゃなと思い、何年か前にはHMVのジャズコーナーを…

Alternative Ourselves

フェイスブックで知人の名前を検索していて気づくのは、この世に同じ名前を持った人間がいかに多く存在しているか、ということである。ためしに自分の名前を検索してみたところ、あまりたくさん見つかるとは思えそうにないその名前も、複数の検索候補があが…

鮮やかな価値観の転換

高いお金を出せば多くのものが得られる。それはそれで経済性にかなっているし、道理的だし、割にあってはいるんだろうけれど、色がいいねと褒められたポロシャツがユニクロで買ったものだったりしたならば思わずほくそ笑んでしまうあまのじゃくな僕にとって…

青々とした芝生の上の衝動

神戸総合運動公園野球場が好きだ。季節は五月がいい。ゲームはもちろんライオンズ戦で、デーゲームだ。僕は三塁側のシートに座り、片手にビールを握って、ライオンズを応援している。太陽はほどよく暑く、芝はため息が出るほど青々としている。さまざまなシ…

父との思い出@今週のお題

1995年、あの阪神大震災が起こった。当時僕は高校生だった。テレビなどの家具はすべからくひっくり返り、ほとんどの食器は割れ、幸いなことに命は助かったものの、僕も母も家具の下敷きになり、住んでいたマンションは半壊になり、その破壊力は圧倒的だった…

煩悩にまみれきる

断捨離など、必要以上に物を持たず、シンプルな生活を送ろうという風潮があるようだ。いっぽうで僕はというと、ますます本は増える、雑誌は増える、服は増える、ほとんど買うことはないんだけど、図書館で借りたものを焼きまくっているせいで棚はコピーCD…

グーグル日本語入力の魅力と罠

僕はパソコンの日本語入力ソフトに、グーグル日本語入力を入れているのだが、このソフトの変換機能にはなかなかに目を見張らされるものがある。特に、固有名詞やネットスラングは、こんなもの入れる必要があるのかと訝りたくなるほどの充実ぶりである。 例え…

集中力と仕事量は比例するのか?

集中力と仕事量は比例するのか? このような仮定を立てたことがある。 大学を卒業してすぐのころ、独学で英語の勉強をしていたときがあった。そのときはもうとにかく機械的に単語の意味ばかり覚えていたんだけど、必死になって勉強した直後の試験ではあまり…