群青ノート

日常の備忘録、あるいは私的雑記帳

「没後10年 松村光秀展 花色香」

 先日は三ノ宮へ。ギャラリー島田の「没後10年 松村光秀展 花色香」を見に。松村光秀展を見るのはこれで二度目である。前に見たのは多分、2016年。そのときは樋口ヒロユキさんがお話をされたものと記憶している。この頃はこのギャラリーにかなりコミットしていて、サロンなどがあるたびに足を運んでいた。
 松村先生の絵を初めて見たときは、正直よく分からなかった。いわゆる自分が好きな感じの絵とは違ったからだ。だがギャラリー内の絵を見ているうちに、じょじょにその世界に引き込まれていった。作品の人物は妖艶であり、妖怪のようであり、奇っ怪な動物のようであり、そのいずれもが人間の本質を反映しているようだった。こんな絵は見たことがなない。強烈なオリジナリティーを感じた。
 本やお話を通じて、松村先生は火事でご家族を亡くされたが、その喪失感を描くのではなく、作品として昇華されたことを知った。『なわ・とんで』というのがその作品である。松村先生の作品からは何とも言えない凄みを感じることがあるが、それはやはり、こういう体験をなさったからかもしれない。
 今回の展示ではギャラリーの地下階に、一枚の絵を中心に彫刻作品が配置され、まるで祭壇のようだったのだが、あの絵は天女だったのだろうか。