群青ノート

日常の備忘録、あるいは私的雑記帳

小銭について

 様々なキャッシュレス決済サービスが揃うこの時代においても、今なお現金派である。財布の小銭入れが小さいため、1円玉や10円玉が貯まると難儀する。こういう小銭はどうするのがよいのだろうか? 以前はゆうちょ銀行にまとめて貯金していた。だが現在、ゆうちょ銀行のATMから小銭を預けると手数料がかかる。世知辛い世の中である。このため、ローカルバンクに小銭預金専用の口座を開設した。1円玉や5円玉がたまるたびにこの口座に預けている。また、以外と使えるのがイコカのチャージである。よく利用する私鉄の券売機では、指定した任意の金額をイコカにチャージすることができる。最近10円玉がたまると、よくイコカにチャージしている。これでかなり、財布の小銭入れはすっきりする。1円たりともムダにはしたくないのである。JRにしても私鉄にしても時差回数券が廃止されたし……。イコカというのは便利だけれども、いまいち交通費に身銭を切っている感覚がなくて、あれはあまりよろしくないなと思う。

舫書店さんへ

 本日は、初めて塩屋へ行ってきました。新しく出来た「舫(もやい)書店」さんへ。実はご店主さんとは、1003さんの読書会で何回かお会いしていて、指摘されて初めて気付いて、「え、あの時もご一緒してたんですか、えええ!」と。ご店主の中で色々なタイミングが重なっての出店となったようで、お話を聞いていて勇気づけられるところが大きかったです。塩屋は何のへんてつもない普通のまちのようでいて、個人の小さなお店があちこちに軒を構えていて、面白いなあ、と。話を聞いていても、ノリが祭りに近いというか、とりあえずやってしまえの精神というか…。海もきれいだったな(写真、取れませんでしたけど)。舫書店さんへ行くことが今年のささやかな目標だったので、実際に足を運べて嬉しい。出来ればまた、時間があるときに訪れて、ゆっくり過ごしてみたい。ご商運に恵まれますように。

 

『台湾の若者を知りたい』

『台湾の若者を知りたい』 (岩波ジュニア新書)を読みました。台湾の若い人たちが日本人と付き合ってみて感じた感想が、後半、赤裸々に綴られています。
「日本人は礼儀を守りすぎだと思う。台湾人に対してはあまり遠慮しなくてもかまわない」「時間をよく守る。約束時間より早く来るが、日本人はそれを礼儀と考える」などなど…。中でも面白かったのが「何でも『大丈夫だ』と言う」「好き嫌いや希望を直接表現しない。何でも『結構です』と言う」「最初から行く気はないのに、行けたら行くねと言う」などの感想。台湾人は、行くなら行く、行かないなら行かないと、はっきり意思表示するらしい。私も買い物のとき、買う気はないのに「ちょっと考えさせてください」とか、よく言うなと思った 笑。はっきり「買いません」というのも悪いかな、という感じで使ってしまうんですけど。もっとも、今はそういうことを言うのが嫌なので、圧の強いお店で買い物をする機会はほぼなくなりましたが。「行けたら行く」に関しては、感情のグラデーションの問題だと思うんですけどね…。すごく行きたいが100だとしたら、30ぐらいの乗り気というか、どちらかというと行くのに乗り気ではないというか。そういうときに口上として、「行けたら行く」と、とりあえず言ってしまうというか。「例えば、私が日本人に台湾の食べ物を食べさせた時、日本人は『おいしい~』と言いましたが、それ以上食べませんでした。明らかに好きじゃないのに、どうして好きなふりをしているのだろう」という感想もあって、さすがに笑いました 笑。これぐらいは正直に言ってもいいと思うんだけど…。台湾の人は感情表現が極めて直接的だな、と。これは南国的な環境によって作られているところが大きいと思う。わりとオープンな気質の国民性を持つ人と話していると、こちらもオープンになるということは結構起きるんですけどね…。確かに日本人の感情表現は回りくどいところがあるから、そういう文化差のある人たちが付き合ったらフラストレーションがたまるだろうなと感じました。台湾の人たちの日本人に対する率直な感想が読めて面白かったです。

以下、「日本人がよそよそしく、距離感や排他性を感じる」(11.2%)、「日本人の言葉遣いが曖昧で回りくどい」(9.7%)、「文化理解の難しさ」(6.6%)、「本音と建前の違い」(5.7%)、「日本語の敬語」(5.5%)、「礼儀」(4.6%)、「話題」(4%)といった回答が続きました。要約すると、「日本人は礼儀正しいものの、態度が他人行儀でよそよそしく、自己主張があまりなく、言葉遣いが曖昧で、本音(本心)と建前(うわべ)が違っている」ということになるでしょう。その結果、「親しくなるのに長い時間がかかる」「何を考えているのかわからない」「日本人に溶け込むのは非常に難しい」という思いを抱くことになるようです。反面、台湾人は自らについて「堅苦しい礼儀にはこだわらず、熱情的で人なつこく、言葉遣いがはっきりしており、思ったことを直接表現する」と考えています。 p182

シーズン開幕

 じゃがいもの植え付けをしました。毎年毎年失敗している、このじゃがいもの栽培…。今回は高さが30cmある深型のプランターを購入し、そこに植え付けてみました。やはり毎回失敗するということは何らかの問題点があって、それを改善しない限り収穫は得られないわけですから…。改善の余地があることに関しては色々試してみて、うまくいったところを見てみたいです。
 しかしこの深型のプランター、かなり容量があって土が足りないな…。増し土のタイミングまでに園芸土を追加で購入せねば…。

名前

 本当に極私的なことだけど、自分に子どもがいたらつけたかった名前(もう何だか、書き残せることは書き残しておいたほうがいいんじゃないかという気持ちになってきた)。
 一つ目は、「千尋」。これはもちろん『千と千尋の神隠し』から。あと、港千尋千尋。「尋」という字には探し求めるという意味や、「訪ねる」という意味があるので、自分にはできなかった、生涯を通じて世界各地を飛び回る探究心に満ちた人生を送ってくれたらと。男性にも女性にも使えますし。確か『千と千尋の神隠し』には、湯婆婆が千尋に向かって、「贅沢な名だね」と言うシーンがあったよな。調べたところ、「尋」という字には特別な意味があるらしい。
 二つ目は、「誠一」。「まこと」あるいは「せい」というのは、個人的な親族とゆかりのある人数人が、その名前に共通して持つ文字である。この名前もなかなかいいんじゃないかと思っていた。ただ残念なことに、あるいは当然のことながら、齢45を超えようとする自分が、これらの名前を持つ子どもたちをこの先持てる見込みは、ありていに言ってゼロパーセントである。だいいち今から子育てとか、しんどいですし。

ラジコプレミアム

 最近のマイブーム、ラジコプレミアム。いつも作業の際は、邪魔にならないようにジャズなどを流すことが多い。でも自分の好きな音楽ばかりかけていると、飽きてくる。そんな時、同僚の方にラジコプレミアムを教えてもらった。ラジコプレミアムのことは知っていた。日本全国のラジオ番組を、有料で聴けるサービス。とはいえ有料なので、入ることに二の足を踏んでいたのだ。だが初めの1か月間は、無料で聴けるというではないか。そこで1か月、お試しで入ってみた。これがすごく面白い。普段自分では入手できない音楽や情報にばんばんアクセスできるので、聴いていて飽きない。ありていに言って、テレビより全然面白い。ラジコプレミアムは何というか、つかの間地元性から離れられるので、ちょっとした一時逃避というか、ほんのささやかな小旅行というか、自分と親和性が高いのかもしれない。その同僚の方がJ-WAVEを薦めてくれたので、J-WAVEを集中的に聴いていて、「JAM THE PLANET、すごくエッジーですよね」とか、「昨日のGRAND MARQUEE、全然ダメでしたわ」などと言い合うのが今は楽しい。

想い人

 昔の想い人が亡くなっていたことを知った。まさかとは思ったけど…。
 二人で会ったり、話し込んだりしたことはなかったけれど、彼女のつづるブログは一時期僕の心の支えだったし、そこから学んだことは少なくないように思う。書かれてある本や音楽をチェックして、後日図書館で借りたりして。世界を広げてもらったように思う。特に原発問題など、日本のある側面を疑問視するような今の僕の一部分は、確実に彼女に作ってもらったものだよなあ。
 反体制的で意志のある人だった。おしゃれな方で、すごくいい傘を持っていたのを覚えている。ビルケンのサンダルをよく履いていらしたな。
 思い返せば、ご姉妹の店に足を運んだのも15年以上前のことになる。時の流れの速さをつくづく感じる。心よりご冥福をお祈りいたします。Mさん、本当にありがとうございました。

2/10 追記
Mさん 人は皆、いつかそちらに行きますけど、自分は天寿が終わるまで生きてみたいと思います。もうちょっと、やりたいことが、ありますので。

台湾読書会「持ち寄り 小さな読書お茶会」

 昨日は三宮元町の書店1003さんへ、台湾に関する紹介型の読書会「持ち寄り 小さな読書お茶会」に参加してきました。20年以上昔に一回だけ行ったことがあるという理由で参加してみたのですが、皆さんやはり台湾のことをよくご存知だなと…。何回も渡台している方もいらっしゃって、台湾というのはそれだけ人を虜にする魅力を備えている国なのだなという印象を持ちました。最近ではオードリー・タンに代表されるように民主化も進んでいますし、私が行った頃とはずいぶん違った国になっているんだろうなと…(個人的には、北京ダックの美味しさ、安さと、漢字による筆談が通じたときの嬉しさを覚えている)。
 個人的に気になったのは、台湾の書店事情に関する本と、『台湾の若者を知りたい』。あとは『司馬遼太郎 街道をゆく』にも台湾紀行の巻があるらしくて、これはぜひ読みたいなと思いました。人それぞれの台湾に対する思いに触れられた貴重な時間でした。

『PERFECT DAYS』

 三宮のシネ・リーブル神戸で、映画『PERFECT DAYS』を見る。役所広司が演じる主役の平山は公共トイレの清掃員として生活の糧を稼ぎ、他の時間には読書をするなどして、質素な生活を送っている。
 これも「おりた」人間の物語だよなあと。この平山という男、どのような人生を辿ってこういう生活に行きついたのかとずっと考えていた。エリート銀行員か、学生運動でもやっていたのかしらん、などと想像していたのだけど、本作中で、どうやらすごい良家の出自であるらしいことがほのめかされる。ああ、そういうことかと…。おそらく親との価値観の相違から、浮世離れした生活を送っているのである。
 トイレ清掃員とはいえ、平山の仕事への態度は極めて実直で丁寧。そして質素そのものといえる生活についても彼の関心は多岐に渡り、それほどお金を使わずとも十分に人生を楽しむことが出来ると感じさせてくれる。古本屋で本を買ってきて読む、神社から苗木をとってきて育てる(最初は苔でも育てているのかと思った)、アナログ写真を撮影して現像に出す、車中ではカセットテープで音楽を聴く、きれいなママのいる小料理屋やせんべろの居酒屋で飲む、銭湯にいく…。果たしてトイレ清掃員の仕事だけで捻出できるのかと思えるほどの余暇時間の充実っぷりである。平山のような非世俗的な生活を送っている「おりた」人間と「おりていない」人間について、どちらが人間的なのかよくわからなくなってくる。現代の東京において、平山ほど他人を観察している人間はおそらく、あまりいない。現代の日本の都市においては、他人に関する興味はほぼ失われている。繰り返し出てくるスカイツリーは、脱俗的な生活を送る平山とは対照を成す東京を表しているように思えた。
 個人的には、平山の車にあったカセットテープを懐に入れて、後日返しにくる女の子のエピソードが好み。あと、小料理屋の女将をやってる石川さゆりが本当にきれいで、あんなニコニコしたきれいなママに「インテリですよね」とか言われてチヤホヤしてもらえるなら、自分もトイレ清掃員の仕事全然できるよなと思った。全編にわたって平山が聴く音楽はすこぶるかっこいい。本作中の音楽を聴くだけでも、この映画を見る価値アリ。また現代の東京における様々なトイレの形を知ることができるという意味でも貴重な作品。物欲にまみれた自分が汚れて思えると同時に、平山のような生活をしたいという憧れも生じた。ヴェンダースの「詩情」に満ちた秀作。


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三宮へ

 本日は息抜きに三宮へ。まずはギャラリー島田のコレクション展「ときひらく」を見に。阪神淡路大震災の起きた1月17日に始まる個展ということで、震災に関連のある作品が展示されていた。津高和一先生と上村さんの抽象画、良い。津高先生の作品は、まだ新年の澄んだ空気が残る毎年1月、見るたびに良いと思うし、新しい年が始まったことを感じさせてくれる。あそこまでに至った簡潔さのなかに、寛ぎというか、大らかなものがある。上村さんの作品については、やはり私は抽象画に引かれるものがある。今回の作品はいつ頃に描かれたものなんだろう…。でも過去の作品に引かれると言われても、おそらく上村さんにとっては喜ばしいことではないのだろう…。
 その後、1003さんと花森書林さんへ。1003さんでは本を取り置きしてもらっていたんだけれど、こういう日に限って店頭に買いたくなる面白そうな本がたくさん並んでおり…。得てしてこういうものだよなあ。やはり本屋さんでは、毎回店頭でしか見つからない本との出会いがあり、それこそが本屋さんに足を運ぶ面白さでもある。今日みたいなことがあると、取り置きしてもらうのもよし悪しだなあと感じる。購入したのは長島有里枝さんの『背中の記憶』。年末年始に読んだ『こんな大人になりました』がとても良かったので。最近読むもののなかには若い人のエッセイも含まれるようになった。若い人の文章は若い人の文章で良いのだけど、長島さんのエッセイは、40代でしか書けない強さがあってガツンときた。40代になったからといって誰もが長島さんのような文章を書けるわけではないのだろう。それはすなわち長島さんの生き方であって、抗い、戦ってきたからこそ、あのようなパワフルな文章が書けるのだと感じた。花森書林さんでは椿崎和夫先生の個展。これも色合いがきれいで、とても良かった。