群青ノート

日常の備忘録、あるいは私的雑記帳

「カレー沢薫のワクワク人生相談」

カレー沢薫のワクワク人生相談」を読了する。カレー沢先生による人生相談本である。安定の面白さである。一部を引用する。

 しかし、「自分より下を見て安心感を得る」という行為はおシャブはんと一緒で、一時的に良い気分にはなれますが、すぐ効果が切れる上に、使う度に大人の階段下る、逆「思い出がいっぱい」状態になるので「もっと下を、もっと下を」とやっている内に、己が石の裏や洗ってない水槽の住人になってしまいます。
 よって、この方法は、そうでもしないとリアルおシャブはんに手を出してしまう、という時の「切り札」として大切にとっておきましょう。

 人生相談本というのは、筆者の針が振り切れすぎて全然相談になってなかったり、逆に相談する読者に寄り添いすぎて面白さが損なわれてしまったりする。意外に難しいジャンルではなかろうか。カレー沢先生がすごいのは、面白さを維持しつつ、ちゃんと相談人の相談に答えているところである。これは本当にすごいと思う。
 また、部屋から出ないのが最強の対処策と言うのはさすがにカレー沢先生らしいが、人と付き合うことはその人の面倒くささと付き合うことだという言葉には重みがある。

 人間誰しも「このPDFを印刷したのち、写真に撮って、それをスキャナで取り込みエクセルに貼りつけてくれ」みたいなことを言いだす時があるのです。
 これからも彼と付き合っていきたいという意思があるなら、そのような面倒くささにもある程度付き合ってあげて、徐々に「写真を撮る必要はないのでは?」と改善を促していけば良いと思います。

 この言葉には、(それが惰性であるにしろないにしろ)旦那様と10年以上もやってこられたのは伊達じゃないなと思わせるところがある。いつも自分のことを無職だ引きこもりだと自虐を言って笑いをとるので、意外というと失礼かもしれないが、先生なりに妥協や歩み寄りを繰り返して10年以上他人と暮らしてきたんだなと感じるのである。

カレー沢薫のワクワク人生相談

カレー沢薫のワクワク人生相談