群青ノート

日常の備忘録、あるいは私的雑記帳

入ったら出す

 宮崎駿監督の映画、「風立ちぬ」の試写状が二枚当たりました。ほしい人がいたらあげようと思ったのですが、あいにくほしがる人はいませんでした。
 僕は人におごったり何かをあげたりすることなんてあまり頭になかった人間だったのですが、四・五年前、神戸に野球を観に行って、チケット売り場でチケットを買おうとしていたら、見知らぬおじさんから声をかけられ、「これあげるわ」と、タダで内野の入場券をいただいて、そのころから、僕も何かあげられるものや、あまらせているものや、できることがあったら人に返そう、という意識が生まれたように思います。それに、古本の売買などをしていても感じるのですが、出入りの流れみたいなものはあって、入ってきたら何かしらのかたちで出さないと、自分のなかのどこかで淀んだりしてしまうように思います。人はそういうふうにぜんたいの流れのなかで入れたり出したりして、持ちあってやっているように感じます。
 「風立ちぬ」の試写状は一枚あまってしまったわけですが、これは僕が持っておこうと思います。遺作にならないともかぎりません。