群青ノート

日常の備忘録、あるいは私的雑記帳

融通小判

 西宮の甲山神呪寺で、融通小判という小判を買うことができます。500円だったと思います。この小判を買うと、一年のあいだはお金を融通してもらえるというのです。一年たった小判はお寺に返しに行き、また新しい小判を買って、一年間守護を受けられます。僕も先月、古い小判を新しい小判に交換してもらいに行ってきました。
 昨年一年間この融通小判の守護を受けましたが、その経験から言うと、確かに金銭的になんとかなりましたが、とはいえ、この小判は持っているだけでお金がガッポガッポ入ってくるというような類のものでは決してなくて、赤字にならない程度のすれすれのところで、なんとか工面してもらえるというものみたいです。いっときは銀行の残額が1,000円を割り込むこともあったんですが、それでもカードや電話の支払料金を滞らせたりせずにはすみました。同じく融通小判を持っているうちの親などからはお金が逃げているようにも見えるので、ひょっとすると裕福な人がこの小判を持つと支出が増えて、お金がない人に融通されるという仕組みになっているのかもしれません。
 たまにはお恵みなのか、臨時収入が入ってくることもあって服も買えたりしますが、しかし服というのは今の僕にとって買ってはいけないものなのか、先日新しいズボンを買ったとたんにお腹を壊してしまい、病院に駆けこんで数千円支払うはめになったとはいえ、それでもギリギリ赤字にはならずにすんでいるのです。でも、僕はそんなにお金に執着はありませんし、翻訳で食べていけるようになっても暮らしていけるだけのぶんがあればいいかなぁと思っているので、赤字にならない程度のところで生きていくというこの融通小判の性質に合っているのかもしれません。何より、昨年一年融通していただいたご加護には本当に感謝しなくてはいけません。欲を言えば、もう少し服を買えるくらいには稼ぎたいところですが、買ったら買ったでまたしっぺ返しが来そうなので、静かに翻訳をしたり本を読んだり物を書いたりしたいと思います。