群青ノート

日常の備忘録、あるいは私的雑記帳

栗田紘一郎さんのトーク

 先日は、三宮のギャラリー島田へ、栗田紘一郎先生のギャラリートークへ。ボタンダウンのシャツにジャケットというこざっぱりとした格好をされておられた先生は、何というか、もうこの人はアメリカ人だな…という印象。ソロ―に深く影響を受けた先生は自然をテーマに制作を続けておられて、3年ほど前に拝見した展示もすごくいいなと思ったのを覚えている。
 第一感の感想なのだけど、先生の写真は他の写真家の方の作品に比べて、わりと感情移入できる余地があったように感じたのだよな…。それはトークでもおっしゃられていたけれど、自分の心が動かされる対象に出遭うまでは撮影しないという、どちらかというと受け身的な態度にその理由の一端があるように思った。あと、トークで印象に残ったのは、徹底的に手間をかけた現像方法。詳しいところまでは失念したけれど、現像する過程において絶対に有機物が必要になるらしくて、先生は卵をお使いになるらしい。現代のスマホを含めたデジタル写真の技術は、世に現れてから普及するまでの時間が極めて短く、また写真になるまでの過程が見えないように作られていている、というようなお話もされていたけれど、先生のやり方は現代のデジタル写真とは対照にあるものだなと。
 ちなみにワタクシは、「略歴にある視覚心理学と先生のキャリアはどうつながっているのですか」という質問をしたのだけど、「あまり関係ないです」と一刀両断されました。うーん、この答えは、何となく予想していたな… 笑。何となく、こういう答えが返ってくるんじゃないかと思っていた。ただその後、人間の視覚と写真の視覚の違いについて、そして、なぜ自分は心理学をやらなかったのかということをわりと丁寧にお話くださって、興味深かったです。
 帰りの東門筋。最近は北野に寄ってから元町方面へ足を伸ばして帰ることが多いのだけど、久しぶりに東門筋を通って帰ったので懐かしく、写真をとってみた。17時過ぎだけど、この時季は、まだ明るい。