群青ノート

日常の備忘録、あるいは私的雑記帳

The Elephant Vanishes

 Haruki Murakamiの短編集、The Elephant Vanishesを読んでいます。N先生が、日本語で覚えている内容の原書を読むといい、というようなことをおっしゃっていたので…。多分、訳す際に、一つひとつの英単語の意味に捕まらないようにする、という目的があるのだと思います(類推)。
 私が最初に翻訳を習ったのは、芦屋のDさんという先生です。Dさんの授業がとても面白かったから、今も訳すことを続けているんだろうなと思います。今年に入って、年に何回かの頻度でN先生の授業をリモートで受けるようになったのですが、N先生のおっしゃることが、Dさんのおっしゃっていたことと驚くほど似ているのです。すなわち、原文の言わんとすることを理解し、英語でも日本語でもないものに置き換え、日本語で表現する、ということです。Dさんは、原作を読んだときと翻訳を読んだときの読後感が(ほぼ)同じであること、それが翻訳の唯一の目的だ、ということをおっしゃっていました。
 これまで私は訳すとき、どこまで足していいのか、どこまで削っていいのか、そういう考えにとらわれてきました。でも両先生のおっしゃっているやり方に基づいて訳すと、逐語訳や意訳という考え方から自由になれるんですよね…。10年前はその意味がまったく分かりませんでしたが、今は何となく分かる気がします。そのやり方で訳せれば、今までとは違う地平に立てる気がするのです。10年経って原点に戻った感じですが、一つずつ取り組んでいきたいと思います。

The Elephant Vanishes

The Elephant Vanishes

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