群青ノート

日常の備忘録、あるいは私的雑記帳

「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」

 アマゾンプライムで映画「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」を見る。世界最大級のこの図書館は、本の貸し出しのみならず、講演会、コンサート、ダンス教室、読書会など、様々な催し・サービスを提供している。特に印象的だったのは、ネット接続が出来るデジタル機器の提供だ。今やインターネット上では、電子書籍の閲覧や本の貸し出し・予約の手続きができるだけではない。生活を送る上で不可欠な情報が、ウェブ上でしか入手できなかったりする。にも関わらず、パソコンやスマホを有していない人たちが存在するため、図書館がそれを補完するサービスを行っているのだ。都市部で貧富の差が開き、家賃が高騰し、インターネットにアクセス出来ない貧しい人たちがさらに不利な条件に追いやられるというこの構図は、かなり深刻だと思う。本作ではさらに、ホームレス政策への踏み込みや、行政や専門機関との連携を検討するシーンが映される。これに対して、非ホームレスはホームレスと距離を取りたがるが、必要なのは規則などを設けることよりも、この街の文化を変えることだ、という意見が出る。ここまで行くと、もはや従来の本を貸し出しするだけの図書館ではない。だが、本を読むという行為がそもそも人間的であるなら、取りこぼされている人間や地域への働きかけをしないで何が図書館か、という気概が伝わってくるようで、非常に刺激的な映画だった。私は図書館というのは公共であってほしいし、形を変えても、拠り所となるような、地域にとって必要な場所だと感じた。
 この映画、上映当時気になってたんだけど、上映時間が3時間以上あって、結局見に行かなかったのだ。今回見たら、やっぱりいい映画だった。自分の好きなことに関して当てになるのは直感ですな…。


www.youtube.com