群青ノート

日常の備忘録、あるいは私的雑記帳

上村亮太展「僕、ユニヴァース」、WAKKUN展「友達がいてよかった」

 先日はギャラリー伏魔殿島田へ。上村亮太展「僕、ユニヴァース」と、WAKKUN展「友達がいてよかった」へ。
 絵の感想を言葉で書くのは苦手なのですが(不得意だということがだんだんと分かってきた)、何か書けと言われている気がするので…。上村さんの絵でも以前、煙が出る紙を掲げる女性の絵があって、ああ、この絵いいなあ…と思っていたんだけど、実はその煙は「のろし」を意味することを後に知って。でもその煙が「のろし」を意味すると知る前のほうが、ああ、これいいなあ、という気持ちは手つかずのままだったような気もするんですよね…。

 やっぱり今回一番印象に残ったのは、この絵なのです。柵の上に人が立っている絵。女性だったり上村さん自身らしき人だったり、同じような絵が何枚かありました。これ何なんやろうとずっと考えていたのですが…。柵って、何かを分けるものですよね。だからこれらの絵は、今の分断的な世界で生きる心象を表しているんじゃないかとも考えたのですが、そういえば人物の顔に晴れやかさのようなものがあったっけなあと思い出したり…。何かの境界線上に立っているんだとは思うんだけど。森と柵っていうことは、ウクライナ侵攻に対するプロテストということなのかな。国境線上にいるこれらの人たちに銃を向けられるんですか、という。いずれにせよその場で見てすっと言葉で説明できる絵じゃありませんでした。上村さんの個展では、この柵の上に立つ人たちが一番心に留まった絵です。WAKKUNの絵もとてもよかったです。自分の中から出た気持ちに素直に、のびのびと表現されておられるのを感じました。
 魔神殿がうろうろされていたので、『忙中旅あり』って本余ってませんかと聞きたくなったのですが、「倚りかかるな」と一喝されそうだったので、おそろしい…おそろしい…とハンター坂を後にしたのでした。