群青ノート

日常の備忘録、あるいは私的雑記帳

「きのう何食べた?」

 「きのう何食べた?」10巻を読んだ。

きのう何食べた?(10) (モーニング KC)

きのう何食べた?(10) (モーニング KC)

 

 このマンガ、主にゲイのカップルたちの食模様が描かれているんだけれど、現実世界と並行して時間が流れているから、主人公たちは毎日美味しいものを食べているようでいてちゃんと歳をとる。同僚の事務員が結婚したり、親が老いて終活をはじめたりする。
 僕がこのマンガを読んでいて切に感じるのは、「ああ、俺たちも年とったよな〜!」ということである。2005年が10年前だなんてどうにも実感がわかない。それなりにいろいろあったものの、なんだかどこかで、同じように生活は続いていくんだろうなという気がしていた。なのに気がつけば僕は40代に差しかかり、そのぶん親も、まわりのみんなもちゃんと歳をとっている。仕事、結婚、離婚、出産……。同性愛というテーマを扱っているんだけれど、そういう普遍的なテーマを扱っているから、僕はこのマンガを好んで読んでいる気がする。同性愛者という、異性愛者からすると一つひっくり返ったところからものごとが見えるから、より普遍的なドラマになっているように思う。
 この10巻を読んでいて面白かったのは、主人公のシロさんが、職場の上司から今後の人生設計を訊ねられるものの、「正直そんな事はこれっぽっちも考えていませんでした」と口をにごしてたしなめられるシーンだ。シロさんは職場でそれなりのポジションにつき、責任感は身についているのに、いざ将来設計などと訊ねられると口をにごしてしまうのである。このあたりは、結婚という制度がない同性愛者特有のメンタリティなのだろうか。僕にはこのあたりの実感が、どうもしっかりつかめない。日本でも制度が変われば、このあたりの意識は変わるのだろうかと、先日のニュースを見てふと思った。