群青ノート

日常の備忘録、あるいは私的雑記帳

両方好き

 僕は犬も猫も大好きで、どちらか片方選ばなくてはいけないとしたら犬と答えるだろうけれど、まあ、猫も犬に劣らず好きである。
 いつだか忘れたけれど、祖母に「あんたは犬と猫とどちらが好きが?」と訊ねられたので、「両方好き」と答えたら、「なんが、それは」と、岡山弁でなかばどやしつけられたことがある。これは祖母が無粋なだけで、さほど意に介する必要はないのだが、普通の人は犬が好きか猫が好きかと訊ねたら、たいていどちらか片方が答えとして返ってくると無意識で予測している。犬派、猫派という言葉もあるくらいである。そこで「両方好き」と答えると、あれ、何だこいつは、ということになる。「両方好き」は、奇をてらわない僕の心からの答えなんだけれど、使い方によっては訊ねた人の思惑をはずしたり、ある種の人の注意を向けたり(もちろん気分を害させたり)できる、積極的なはぐらかしにもなるのである。