群青ノート

日常の備忘録、あるいは私的雑記帳

「神々の頂」

 谷口ジローの「神々の山嶺」を読みました。想像を絶するような世界最高峰の山々に挑む男たちを描いた物語です。
 普通の人間なら、こんなところを登ろうという発想は出てこないだろうな山に、男たちはより困難な方法で挑みます。ある者は実際に命を落としてしまうわけですが、生還してきた者も、しばらくするとまた違う山に挑んでいきます。亡くなった者のせいで自分が許せずとり憑かれるように。あるいは天賦の才能を追いかけるように。
 おそらく生と死が隣合わせの世界を味わうと、普通の生活はたるみきっていて、飽き足りないのだと思います。死と隣り合わせの世界でしか、呼吸ができなくなるのです。とても真似はできませんが、頭では理解できます。自分とはまったく違う人生を追体験できるという意味で、この上なくスリリングで、息苦しく、そして引き込まれる物語でした。

神々の山嶺 文庫版 コミック 全5巻完結セット (集英社文庫―コミック版)

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