群青ノート

日常の備忘録、あるいは私的雑記帳

「モバイルハウスのつくりかた」

 最近はアマゾンプライムで、「VHSテープを巻き戻せ!」やら、「パパ、遺伝子組み換えってなあに?」やらのドキュメンタリー映画をよく見る。アマゾンプライムは全体的なラインナップではレンタルショップに劣るかもしれないが、こういう作品を地味に配信してくれるので嬉しい。
 今日は坂口恭平出演の「モバイルハウスのつくりかた」を見る。坂口氏は学生時代は建築学科にいたが、"なぜ私たちは身の丈に合った家を建てることが出来ないのだろう?”と疑問を抱き、多摩川の河川敷に住むおじさんに教わって、2畳ほどの手製の小屋にタイヤをくっつけた動く家「モバイルハウス」を作ってしまう。制作費はコーナンで3万円に満たない。これを月極駐車場や貸し農園に置けば、家賃はほとんどかからない。資本社会の権力構造が含む、高額なローンを組んだりその支払いに人生の大半を費やすことから解き放たれるのである。私は以前に坂口氏の「0円ハウス」を読んでいたが、実際に手作りで小屋を建てていくプロセスがおさめられた本作を、「このアイデアがあったか…」と食い入って見た。だがよくよく考えてみるとアイデアの面白さに加えて、実際に実行してしまうのがすごいんだよなあと認識した。だって、こんなこと思いついても実際にやる人ほとんどいないよ。
 その後東日本大震災が起きて氏は地元の熊本に戻り、パブリックとプライベートの役目を併せ持つ場所を立ち上げる。「よく分からない場所を作りたいというのはあるんですよ。よく分からないけどあって、よく分からないけど人が入れて、実はそういう場所がないんですよ、この世の中には」


映画『モバイルハウスのつくりかた』予告編