群青ノート

日常の備忘録、あるいは私的雑記帳

ギャラリーS

 ギャラリーSで、荒木きよこ先生の絵を買い求める。感慨深いものがある。初めてギャラリーSに足を運んだのは、学生のころだったような気もするが、よく覚えていない。頻繁に足を運ぶようになったのは2015年ぐらいのことである。当初は、面白そうなので首を突っ込んでやれ、くらいの気持ちだった。ところがこのギャラリー、一筋縄ではいかない伏魔殿のごとき館であった。じょじょに私は、ギャラリーSに続くハンター坂を重たく感じるようになった。それは私が、絵描きでも評論家でもコレクターでもなく、ただの鑑賞者だったからであり、それ故に、ただ見るという立場に疲れてしまった時もある。とはいえ当初の何も知らない好奇心ばかりが先走っていたころに絵を買い求めていても、それほどの感慨は抱かなかっただろう。この数年間、心を張り詰め、グシャグシャの気持ちを抱え、それを試されたり、促されたり、あるいはささやかな、寄り添うような、圧倒的な美に心を打たれたりした。あれほどの絵画を適度な距離感を保ちつつ見せてくれるギャラリーを、私はほかに知らないのだ。また黙殺されたりするんだろうけど。

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