群青ノート

日常の備忘録、あるいは私的雑記帳

『いのちの政治学』

『いのちの政治学』(集英社クリエイティブ刊)より。

若松 まったく同感です。よくわかります。イギリスの高名なチンパンジー研究者、ジェーン・グドールも、新型コロナウイルスの感染が広がり始めたかなり初期の段階で、このウイルスが出てきたのは、「われわれが自然を無視し、地球を共有すべき動物たちを軽視した結果」(二〇二〇年四月一二日、AFPBB Newsウェブサイトより)だと発言していました。

中島 アマゾンの火災、温暖化ガスによって引き起こされた気候変動、度を越した野生動物の捕食……そのような人間の行為によって生息地を破壊されたウイルスが、「次はここが空いてる」といって人間のところにやってきた。ずっと一定のバランスが保たれてきた均衡点を人間が侵したために、すみかを奪われて難民化しているのがウイルスなんだ、というんですね。
 ジョルダーノは、だからこれは今回の新型コロナウイルスだけの問題ではないんだ、ともいっています。ウイルスは「引っ越し」をどんどん進めて、これから繰り返し人間のところにやってくるだろう。今回のウイルスがどこからやってきたかについてはいろんな議論があるけれど、それだけの問題ではない。もっと根源の部分を考え直さなくてはならないんだ、といっているわけです。

p62より

 もう本当にこのとおりだと思います。SDGs(持続可能な開発目標)なんて大嘘っぱちです。コロナ下で人間が経済活動を抑えたら、自然は急速に回復を始めたのですから。"No more development" なんですよ。自宅の周りを見ているだけでも、思う。なぜこんなに新築住宅が必要なのか? 日本、人口減っているのに? こんなに空き家が問題化しているのに? なぜ農地を潰して新築住宅を建てるのか? すべてが間違っていると思う。コロナ禍という言い方に違和感を覚えるのは、災いはコロナじゃなくて人間の方だと思うから。この物質至上主義の社会変えないと、本当、人類滅ぶよ。