群青ノート

日常の備忘録、あるいは私的雑記帳

「ポエトリーエンジェル」

 アマゾンプライムで映画「ポエトリーエンジェル」を見る。


『ポエトリーエンジェル』予告編

 主人公の玉置勤は実家の梅農家を手伝いながら、日々奇妙な妄想に耽っている。ところがふとしたことから、詩でパフォーマンスを競い合う「詩のボクシング」に参加することになり、ラッパーと言いつつキャバクラで働く土井や、友人を作りたいという智恵子、年金ぐらしの中島さんなどと知り合う。
 久しぶりに飲んだ友人は東京で就職し、自分は田舎で日々草刈り。この主人公の鬱屈した気持ちを「詩のボクシング」という形で表現させたのがやっぱり上手いと思うのだよな。私は主人公がパフォーマンスをするたびに笑っていたのだけど(スベリ気味が好きなので…)、この年頃の男子の妄想を面白く表現していたと思う。
 年金暮らしの中島さんは最初から表現力豊かなのだが、後に奥さんが目が不自由ということが分かり、「あ、だからか…」と納得したり。自称ラッパーの土井は最初はめちゃくちゃなんだけど、2回目の対抗戦ではすごく上達し、でもラストの一言いらんやろと思っていたらやっぱり負けてたり。吃音症の丸山杏は自分の気持ちを吐露するパフォーマンスをするんだけど、教室で丸山に声をかけていた林原を勝たせたところなんかは、映画が一人よがりになってなくてとても良かった。海のシーンもきれいだったな。もう青春映画に感動する年齢でもないんだけど、こういうふうに世界が見えていた頃の自分を思い出して、今年一番の一本だった。