群青ノート

日常の備忘録、あるいは私的雑記帳

映画「ひみつの花園」

 矢口史靖監督の「ひみつの花園」を観た。

ひみつの花園 [DVD]

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 主人公の咲子はちょっと変わった女の子で、お金に目がない。銀行に勤めた咲子だが、銀行強盗に拉致されてしまう。ところが銀行強盗を乗せた車が樹海で横転。盗まれた5億円は消えてしまう。咲子はその消えた5億円を回収するために、東奔西走し始める……、といったストーリー。
 もうなんといっても、主人公の咲子が見ていて気持ちいい。消えた5億円を拾い上げるために、地質学を学んだり、水泳をしたり、山登りをしたり……。大学の授業料を払えなくなってしまうものの、山登りでオーストラリアに行って、現地の石を大学の教授に帰って見せたら、「ここで働いてみないかね」なんて言われてしまう。お金に目がないという意味では目的的だが、行動はなすがまま。そのさまはこの上なく可笑しくて、自由だ。
 途中で咲子は、5億円を拾い上げるという、そもそもの目的を忘れてしまいさえする。でも考えてみたら、それなりに専門的なことをしている人のなかには、こういう人いるんじゃないだろうか。後先なんて考えず、ただ目の前にある好きなことにのめり込んでいるだけ。そうやっていれば、たぶんものごとなんてどうにかなってしまうのだ。そう考えてみると、咲子のモチベーションとなっているものがお金というのも興味深い。
 昔、矢口監督の「裸足のピクニック」を観て、とても印象に残ったのを憶えているが、本作も負けず劣らず印象に残る映画だった。すごくいい映画でした。