群青ノート

日常の備忘録、あるいは私的雑記帳

桜。

 また桜の季節になりました。先輩が亡くなってから20年間、私はずっと、この花を、一人で見てきたんだなと…。何か、もう、それしか言えんわな…。
 若い頃は桜がいっせいに咲き誇る頃になると、春がきた、という、湧き立つような高揚感、生命感を感じたものですけど、年をとったせいか感性も摩耗し、そういう過剰な感情はなく…。お墓参りも桜の季節にではなく、彼岸に行くようになりましたし、お酒もやめたので、桜の木の下でビールを飲みながら感慨にふけることもなくなりました。桜だ、花見だ、と騒いでいるのは世間ばかり。今、春の桜が私に痛感させるのは、自分が一人であるという事実です。とはいえ、あ、きれいだな、春だな、という感慨がうっすらとではあるけれど湧きもし、あ、まだこういう感情も残っているんだ、と驚きもしますし、忌々しくもあります。