河合隼雄先生の『私が語り伝えたかったこと』を読む。
そしてここで非常に大事なことは、自分はこれで自分のアイデンティティを確立しましょうということで、たとえば大学へいって研究者としての道をすすんだという場合、これはそのことでほかの仕事をやめたということだということです。あるいはある人が俺は絵かきでいくと決意されるということは、政治家になるということを断念されるということである。
この、おとなになるときには断念する力が要るということが非常に大事なんです。何かの道を選ぶというと、みんな非常にいいことばかり考えるのですが、何かを選ぶというなかには、その代わりこれはやめることになるんだという、あきらめというものがある。あきらめる力をもっていない人はエゴ・アイデンティティというものは確立しない。さきほどいったような、あれもいい、これもいい、あれもできるかもわからん、これもできるかもわからんといっている人は、なかなかアイデンティティは確立しないわけです。 p46
いまだにろくな収入を得ていないにもかかわらず、会社員として働くことをあきらめている分には、私はアイデンティティが確立していることになる。最近、自立とは何ぞやと、よく考える。
