群青ノート

日常の備忘録、あるいは私的雑記帳

PEACE

 30代の頃は、時間だけはあった。だが悲しいかな、お金がなかった。だから週末や平日の夜、足を運ぶのは、無料で催されているミニ・コンサートだった。当時、伊丹空港などで、そういう無料のジャズ・コンサートが催されていたのである。そういう折には、事前にスーパーなどでビールを買い、会場に持ち込み、思うぞんぶん飲酒を満喫していた。コンサートがないときでも、一人で公園で酒を飲んだりしていた。おかげで30代の頃は、異様に酒に強くなった。 

  隣市の図書館なども狙い目だった。CDの所蔵がなかなかのもので、10キロ以上離れているこの隣市の図書館に、私は自転車で足繁く通った。ビートルズのアルバムはほとんど全部この図書館で借りて聴いた。マイルスの"マラソン・セッション”の4作も揃った。何の前知識もなく、たまたま借りたCDが「当たり」だったこともあった。ジョルジュ・ロベールとケニー・バロンのデュエット盤"Peace”と、”MILT JACKSON AND THE HIP STRING QUARTET”は、そういうアルバムである。伸びの良いロベールのアルトサックスが聴かせる『ピース』は、当時の愛聴盤だった。調べたらYouTubeにfull albumが上がっている。今聴いても、いいアルバムだよなあ、と、しみじみ。

 

2025/5/21 加筆

 何だかんだで30代の頃、自分は自由だったのだと思う。お金はなく、仕事がないことをやましく思う気持ちもあったが、今思い返せば、それよりも自由であることのほうがずっと貴重だった。体も精神も若々しかった。翻訳の勉強は続けていたものの、「いつ勉強をするのか」なんていうのは自分のさじ加減次第であり、平日に勉強ができなければ、その分土日に水増しして勉強をすればいいだけの話だった。

 今はなかなか、そういうわけにいかない。まがりなりにも仕事があるので、平日に出かけることは難しい。土日の用事もスケジュールの調整に苦労する。こういうことを「大人になった」と言っていいんだろうか(いまだに実家暮らしで、ろくな収入も得ていないのだが……)。


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